2018年7月 オーストラリア グローバル研修 レポート2(住宅関連企業)

【グローバル研修の主旨】

日本から見た海外、海外から見た日本を体験する事により「異文化体験・異文化理解」を深める事を念頭に、常識や概念を打破するアイディアや柔軟性のある考え方を養います。

オーストラリアは移民による人口増加で建設ラッシュに加え、広大な土地に日本にはないデザイン・間取り・インテリアコーディネートを施されたハイレベルな高級住宅や分譲地が豊富にあります。すべてを取り入れる事は難しいですが、現地で学んだ思考を柔軟に取り入れていただける事を期待しています。

 

・ワイドエステートによる不動産事情論

ワイドエステート代表砂川氏によるオーストラリア不動産セミナーを行いました。

何故、今オーストラリアなのか
①3.11の震災以降、日本より海外で資産を残す方が増加した事
②人口減少による経済のさらなる低迷を見越し、資産を分散させる傾向にあり、 これらは個人・企業問わず自然な流れである事
③インターネットの発達による情報の流通
④23年続くオーストラリア市場の成長
これらが一因として挙げられます。
資源国だと思われがちですが、GDPの内第一次産業(農業、林業、漁業)が2.2%であり、第三次産業(製造業、建設業、電気・ガス業)が7%と、自立型と言える国であるため、年々成長している市場であると言えます。
日本の人口減少の影響を受け、積水・大京・ミサワ・ナイス社は日本での見込みがないと判断し、既にオーストラリアへ進出をしていています。これらは現地オーストラリア人に定評があり、非常に売れている状況です。
注目エリアとしては、ブリスベン・ゴールドコースト・サンシャインコースと・トゥーンバのエリアを結ぶ三角地帯が人気で、この15年で富裕層が増加している事も影響があると言えます。ニーズに合わせてコンドミニアム&ホテルの運用を行うハイブリット運用や賃貸運用のメリットデメリット、直近の家賃とグロス利回り(5.2%)を知る事によりオーストラリアの推移を学びました。実績の住宅分譲やタウンハウスをふまえたオーストラリアの実質利回りを日本と比べ、日本の現状も学ぶ事ができた機会となりました。

・THE STAR RESIDENCE GOLDCOAST 視察

ザ・スターはまだ完工していない物件ですが、既に9割が受注を終えている物件です。午前に引き続きワイドエステートのスタッフから、これらの販売方法、アプローチ法、と価格帯・立地条件の解説をお話しいただき、開発事情を学んでいただきました。スターホテルの1部に設営されたショールームからの展望をご覧いただきながら、エリアの特徴やコンセプトを知る事により、今後の営業法やターゲット層の設定の仕方なども学んでいただきました

・VANTAGE (APARTMENT) 視察

こちらは視察の数日後に鍵の引渡が行われる新築物件です。コーディネートをされた室内を見学いただきました。研修がスタートし、一つ目の住宅視察でしたので間取りや海外家具のサイズ感、レイアウトに新鮮さを感じてご覧いただいていたように感じました。

・会計士、弁護士によるビジネス講座

日本とオーストラリアで活躍する会計士ブリーズ洋子氏、弁護士のハーディング裕子氏よりオーストラリアの一般/ビジネス概要と不動産売買について/税制の講義を受講いただきました。

・オーストラリアの概要
健康産業・教育と訓練産業も活発な事もあり、1992年から27年連続毎年平均3%の経済成長を維持。主要先進国を抜きトップ

・日本企業がなぜアジアや欧米でなく豪州に投資をするのか
GDP、人口ともに長期安定して成長もしくは増加している点が取り上げられる。また時差も少なく、法制度やビジネス環境も整い必ず弁護士介入する為安心である事。EPAが2015年から発効し、TPPの大筋合意に至るなどで今後の両国で貿易が更に活性化する事が見込まれている。

こういった事をふまえ、外国人が購入できる住居の条件や申請方法、また物件が決まってから決済までの流れまでも学んでいただきました。日本ではみられない、弁護士がすべての手続きを行い、弁護士間でやり取りを行うフローは以前弊社が住宅販売を行っていた際に参考にしたしくみでもあります。各ポイントを日本流に変換して自社で活かすアイディアを発見していただくのも研修の一部となっています。

・税制について
オーストラリアの税制について解説をいただきました。日本との税金設定の違いや、居住者/非居住者/ワーキングホリデーの税率や州ごとの州税を知る事で日本の税制まで学ぶことが出来た機会になったと思います。

・高級住宅地 ヘレンズベール視察

ヘレンズベール地区にある大型住宅展示場を視察しました。

メトリコン(Metricon)をはじめとしたハウスメーカーが、数多くのモデルハウスを公開しています。平屋から二階建て、大小様々な住宅に、コンセプトに沿って統一されたコーディネートがされている内観になっています。LDKがワンルームとなっているのは日本と変わりませんが、オージーらしさといった点では、どの家にも大小様々な形状で【AL FRESCO(アルフレスコ) 】とイタリア語で呼ぶアウトドア・リビングが存在します。

家族の食事はもちろん、友人を呼んでBBQパーティーを催すのが、オージーホームオーナーとしての憧れと言うことが感じ取れます。間取りだけでなく間仕切りにパーテーションを採用する事が日本では多いですが、ガラリ建具が頻繁に採用されている点も違いが表れています。販売するにあたって住んだ時の空間イメージが大切になってきますがディスプレイも間取り・色合い・小物とコンセプトに合わせた見せ方を行い、インテリア面でも非常に参考になったかと思います。

・ウエストパックによる金融座学/オーストラリア事情論

サーファーズパラダイスにあるウエストパックにて金融銀行・オーストラリア事情についてお話しを聞いていただきました。ウエストパック銀行はオーストラリアの4大銀行であり、また200年続くオーストラリア最古の銀行かつ企業でもあります。金融事情について日本と大きく違う利息面や経済推移、またお客様を差別では無く区別する事で最適なサービスを提案する姿勢までも学んでいただきました。

口座開設を行い、アプリでの資産管理が見える化によるシステム管理が確立されていることにより、世界中どこへいても不正アクセスによる資産紛失などの危険性がなくなる仕組みも理解していただきました。日本でも問題視されている【残業】は、オーストラリアではプライベートの時間を大切にする国民性と政策が合致し、雇用政策も理想的である点も理解していただきました。日本では35年のローンを組み住み続けるのが一般的ですが、オーストラリアでは平均3-5回は住み替えるのが一般的です。この違いの背景にオーストラリア人は環境にあった暮らしを大切にしており物件の価値もリフォームなど手をいれておけば人口増に伴い価値が上がるといった事から買った時から価値が下がり続ける日本と文化が大きく違う事があげられます。

・クーメラエリア 住宅地視察

クーメラエリアでは、高級住宅から中層クラスの住宅が解放されており間取り・キッチンなどは日本に近い一般的な住宅展示場を視察しました。1年間の間に展示場全体が大きく変わっており新しいデザインのものや建築中の建物も多数ありました。お客様が求めるニーズに価格だけでなく効率・生産性向上に向けた販売政策も感じられました。

・ブリスベン市内視察

リゾートエリアのゴールドコーストを離れ、ビジネス街ブリスベン市内を視察しました。ブリスベンはオーストラリアで3番目に人口の多い都市ですが、実際はシドニー(人口490万人)、メルボルン(人口450万人)がトップ2に位置し、大きく間を開けてブリスベン(人口は230万人)と位置しています。シドニーやメルボルンと比較すると、人口は約半分で、日本で言えば名古屋市と同じ人口の都市です。クイーンズランド州立のアートギャラリー(美術館)・ミュージアム(博物館)をご覧いただいたのちに、ブリスベン川を走るCitycatと呼ばれる船から街並み、高層マンション・ビルを視察いただきました。センター街に戻り、オープンレストランや夜になるとライトアップされる図書館のようなカジノ、一見高級なアンティークビルのように見えるapple store、ゴールドコーストではあまり目にしない協会など、また違った街並みをご覧いただきました。

・インテリア/雑貨店/現地ホームセンター視察

インテリア・雑貨店が軒を連ねるエリアにて、現地人気のショップの視察を行いました。ショップに入る前から、そのお店がどのようなコンセプト・テーマなのかが一目瞭然である事は、住宅販売でも重要な事です。商品の見せ方、レイアウトの仕方もご参考いただければと思います。展示場でも使用されていた照明やインテリア用品も販売されている為、低価格商品でもコンセプトに合わせた見せ方をすると十分活かす事ができるとお分かりいただけたかと思います

研修者様の感想

 

●住宅販売において、銀行・弁護士・会計士などさまざまな専門家と関わり、物件を手に入れるしくみは日本と大きく異なり、新しい知識となった。オーストラリアで住宅は移り住む常識にも驚いた。しかしそのような住み方が家を大切に使う事に繋がっている。「継続」「歴史」を大事にする日本と大きく異なる部分だが、それぞれに良さや価値があり文化の違いを楽しむ事が出来た。住宅については環境もスケールも違うが、間取りやデザインは今後に活かしていきたい。なによりも「暮らし方」が参考になった

●部屋の数や大きさ、アウトドアリビングにプールと高級感あふれる建物が立ち並び、正面の印象を大事にしていると感じる家が多かった。内部は白を基調としながらも各家アクセントや家具の色などで統一感を出し個性を出していた。家事動線も考えられていて実際に体感できたため参考になった。また家具から小物までディスプレイされ1つ1つ細かいところまでおしゃれだった。

●自社のコンセプトにあった研修であったため、取り入れ要る事が多い研修だった。コーディネートの意図があることで、見る人に印象をあたえるとはどういう事なのかを体感でき、学ぶことができた。

●座学でその国の生の情報を学び、視察する研修は理解度が深まり学ぶ情報も多かった

●生活水準の高さ、豊かな自然、余暇に対する考え方が日本と違う事を形で見たような印象だった。ホテルコンドというスタイルが定着され、住まいに対する考えが生活の変化によって住む家も変わるという点が日本と大きく違う事を学んだ。

●小さなショールームに模型があり、立地を確認し、工事着手前に90%以上販売済みな事に驚きました。他国でみた高級住宅よりもオーストラリアの住宅の方がハイグレードで物件自体のレベルが高く驚きました。

●1区画に様々な住宅会社がディスプレイハウスを展示している事に驚きました。また住宅の空間の見せ方に感動しました。キッチン・リビング・ダイニングが広く、オープンプランの間取りが多く、アウトドアリビングが一体になる設計、内装のインテリアが素晴らしかった。

●今後、自社の完成見学会などに取り入れて、来場いただいたお客様に暮らしを想像させ、ワクワク感をあたえて受注につなげたい。

●ロビーナショッピングセンターでは、すべてがデザインされていて、自分も含め設計の仕事をしている人は特に刺激を受ける施設でした。また家具店でも展示方法がすばらしく、小物などのディスプレイなども良かった

 


2018年7月 第4回オーストラリア視察研修にご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。

好評のグローバル人材育成海外視察研修は、
次回 ラスベガス・マレーシア・ハワイ・オーストラリアを予定しております。
ご参加の企業様の職種に合わせてオリジナル視察研修を企画、運営、催行させていただきます。

ご興味、ご質問等ございましたら、HPのお問合せ よりご連絡下さいませ。

 

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